ID-POS分析

● ポジションとポジショニングをハッキリ区別する
   =ヘルプディスク・サービスのご案内=
 最近、小売企業からPOSデータを提供され、「提案をしてくれ」と言われて困っているメーカーの方のお話しをよく聞きます。「何をどうしたら良いか」わからないという方も多いようです。
 課題は2つです。
 1.ID−POSデータの集計・分析のやり方(データ処理)
 2.集計結果をもとに販売(促進)の提案を作る(企画立案)

 1のデータ処理については、単なる作業ですから、予算や時間をかけるべきことではありません。
 必要なのは経験と技術を持ったスタッフです。ですが、このスタッフは必ずしも常駐する必要はありません。必要な時に必要な技術を提供すれば足りるのです。
 そこで、「ID−PO分析 ヘルプディスク・サービス」を開始しました。

● サービス内容
初期設定
 ・POSデータをデータベース形に変換し、データベースに格納します
  変換/格納のプログラムを納品します
  *ハード、ソフトの準備は貴社でお願い致します

 ・基本分析プログラムの作成
  基本分析プログラムを納品します
  ボタンを押すだけで、分析結果がエクセルの表で出力されます

主な基本分析プログラムの内容
 ・戻り購買分析
 「戻り購買」とは、お客様がレジ通過後に買い忘れに気づき戻って買われることです
 お客様にとって買い易い売場であれば「戻り購買」は発生しません
 客動線や陳列の「穴」を見つけ、店長やSVなどお店の方々と一緒になって問題を解決します
 *戻り購買分析の設定は、駐車場の場所や、フロントスペースでの販売の有無などによって異なります

 ・同時購買分析(バスケット分析)
 バスケット分析は、当用買い商品の近接陳列の指針となります
 ストック商品を同時購買確率が高いからというだけで近接陳列すると、お客様にとって買いづらい売場になることがありますのでご注意下さい
 *当用買いは、商品カテゴリーだけでなく、量目やお店の立地、時刻などによって決まります

 ・遷移購買分析
 遷移購買分析は、ストック商品のセット販売や特別陳列販売の指針となります
 遷移購買のポイントは購買間隔(インタバル)の日数です
 遷移購買確率が高くとも、インタバルの長いものは「打ち手」がないことが殆どです

 ・併買分析
 併買分析は、客動線に沿ってゾーニングや陳列位置を決める指針となる基礎資料です
 コーナー作りやカテゴリー・マーケティングの必須データでもあります

ヘルプディスク
 ・POS分析についての質問にお答えします
  納品させて頂いたプログラムに関するご質問にお答えします
  基本分析以外の集計/分析の要望に応じてプログラムを作成しお送りします
  分析結果についての疑問/質問にお答えします
  *ヘルプディスクは、メールと電話で行います

オプション(企画立案支援)
 ・売場同行と企画会議への参加
  データ処理結果だけでは企画立案が難しい場合が少なくありません
  特に、店頭MDの問題は現場に行かないと「見えない」ことが多いものです
  データに表れた事実と、店頭の現実を見比べて「売り方」をご提案させて頂きます

● 収益を向上させる打ち手を作る(企画立案支援の事例)
 「どこで」「いつ」「誰が」「何を」買うのかが見えれば、その場限りの価格競合に慌てることはありません(但し、競合が自社を叩き潰すまでの低価格戦術を継続する意思と体力がある場合は別ですが)。

 下の表は、競合が極端な価格競合を仕掛けている事例です。矢印上の価格は遷移購買の価格を、箱の中の価格は継続購買の価格です。継続購買価格は、その商品の本当の価値=顧客価値を表しています。自社商品のLMLは、DMLが278円以下では、お客様を奪われてしまいます。ですが、お客様は競合のDMLに満足せず、LMLの継続購買価格と同じ487円で次の購買機会で戻ってきてくれます。一方、DMLは遷移購買価格よりさらに低い価格(278円)でないと継続購買が確保できません。

 これが極端な事例だと思うのは、売りの現場を知らない方です。多くの値引き合戦の実態は、在庫処分に困った弱小商品の安売りに不必要にお付き合いしてしまった結果です。小売側も、そして、営業マンもこれに便乗して価格圧力を高める、というのが実態なのです。

 この場合の「打ち手」は、遷移価格とインタバルを見れば明らかです。LMLは若干の割引をする。しかし、単純な値引きではなく、補完関係にある(LMLとのライン購買で売れているが陳列位置が悪い)自社商品LMWとのセット販売(特別陳列)によって、トータルでの販売と収益を同時に向上させるのです。これは、LMLとLMWの併買率や遷移購買価格を見れば明らかです。




B−Map分析:ありのままの商品知覚を描く

● ポジションとポジショニングをハッキリ区別する
 ポジションは、お客様のありのままの商品知覚を捉えるもの。対して、ポジショニングは、お客様のありのままの商品世界の認知に対して、どの位置づけに何を新たに加えるのか、お客様の知覚する商品世界をどのように変容させるのか、を考えるものです。
 「ポジショニング分析」は、あり得ません。ポジショニングはメーカー/売り手の意志であり、分析すべきなのは「ありのままの姿」です。ポジションニングは、ありのままの姿を直視することから始まります。

● お客様の商品知覚をありのままを捉える
1)誰の商品知覚を捉えたいのかを定める
 購入者の場合は、店頭で見かけるパッケージ(外装)を、
 使用者に絞り込む場合は、使用状態のパッケージを、提示する
 購買者/使用者以外の知覚を捉えたい場合は、見込客を明確に定義して対象者に加える
 (車などの耐久消費財の場合、見込客の定義が不適切だと知覚マップが不適切なものになる)
 日用品の場合は、少なくとも対象者が「知らない」商品を除外しないと調査結果の精度が低下する

2)お客様が商品を識別する要素を特定する
 セルフサービスで購入する場合は、パッケージのみを、
 カタログで見て対面販売で購入する商品は、商品現物と商品名を提示する

3)お客様の自然な商品カテゴリー認知に従う
 ターゲット顧客の自然な商品カテゴリーを事前に把握する
 自社都合のカテゴリーに従って商品を選択すると歪んだ商品世界が導かれる
 お客様のカテゴリー認知の中で上位なカテゴリーを選ぶ(安全のために)

4)選択されたカテゴリー内で、提示する商品を適切に選択する
 調査対象地域の主要店舗の売行きトップ20は商品属性が類似していても除外しない
 売上が伸長している商品やロングラン商品を選ぶ(最大20)
 自社商品と、注目する商品を加える(最大20)
 合計最大60商品となります

5)アンカー商品は、カテゴリーの世界を余すところなく捉えるように選ぶ
 アンカー商品=カテゴリーの境界を示す商品を適切に選ばないと知覚マップは歪む
 例えば、カテゴリーに「飲料」を選ぶとすれば、以下がアンカーの候補となる
 「搾り立ての100%天然果汁」 「コーラ飲料」「炭酸水」(既に具体的な商品が選ばれていれば除外)
 「水道水」「地下からの湧き水(ナチュラルウォーター)」「家で入れる緑茶」「喫茶店の本格コーヒー」

● 商品の購買可能性を測定し、知覚マップに埋め込む(ポジションに対応させる)


 ポジションの正確な購買可能性を知らなければ、妥当なポジショニングはできません。
 購買可能性の捉え方は、
1)今後の可能性を捉える場合は「選好」、
2)今の可能性を知りたい場合は「購入意向」、
3)現在の購買を捉える場合は「最近購買」、
を測度とします。

 「選好」は、「近い将来、一度は買ってみたい」「一番好き」などが設問になります。購買意向は、「是非買いたい」では不確実性の高い測度になってしまいますので、「10回の内、○は何回買いますか」のように、決まった回数の内の買う回数(恒常和法)を測度とします。購買は「最近良く買う商品」では精度が低いので「最近買った商品」とします。

 商品の購買可能性/選好測度のマッピングは、
1)3次元グラフにする、
2)等高線で表現する、
3)バブル表示にする、のいずれかを用います。
3次元グラフは、等高線も示した上で、ディスプレイ上で自由に動かせるようにしない限り、見えづらいものです。大局的に大きな変動があり、そのが変動がなだらかであれば理解力の高いものになります。一般的には、下図のようなバブル表示が判りやすいマップになります。

 選好の傾向線や今後大きなポテンシャルを持ちそうな領域を「手書き」で引いてみましょう。そして、何故、この領域の方向に可能性があるのかの、製造-物流上の要因を考察します。示した図の例では、左下の領域は選好度が高いのに、ポテンシャルが相対的に小さいのは、大量生産ができず、賞味期限が短いために物流費が嵩む為に価格が高いからです。ポテンシャルの背景にある製造-物流-販売上の要因を識別することは、現実妥当性のあるポジショニングのための必須条件です。

* 選好線を数理的に導くことや現状市場での収益最大ポイントを特定することもできますが、あえて「手書き」を推奨します。ポジショニングは、科学ではありません。ポジションの解釈は科学でなければなりませんが、ポテンシャルの予測は意志が入り込んだ方が、独自のポテンシャルを追求することになります。ポジショニングを科学すれば、現状肯定=後追いの「間違いの無い」縮小均衡路線を歩むことになるのは確実です。

● 新商品を企画するポジションを決める(ポジショニングする)
 ポジショニングをする準備は整いました。作り手/売り手としての意志を以て商品を位置づける段階です。ポジショニングには法則も手法もありません。
 ありのままの事実を見つめ続け、「こんなものが作りたい」という意志と情熱があれば、ポジショニングは見えてくるはずです。それをポジションマップに描きます。
 そして、現実の市場に置いた時の、サブカテゴリー上の位置づけ、商品イメージ、販売経路、店頭での陳列位置、訴求ポイント・・・、そして、10年後の位置づけの変化の想定・・・。客観的な事実を踏まえて、行なうべき事の基本方針を決定していきます。



From-To分析:業務の事実を情報の流れから捉え、ワークフローを最適化する

● 見えにくいオフィスのワークフローの実態を見える化する
 事後の事務処理ならば帳票の流れを追えば見えるがそれ以前の流れは、「こうだろう」と思ったようには流れていません。
 オフィスワークは「情報」を扱っています。情報を入手し、共有し、加工し、伝える。この流れを事実として捉えることができれば、オフィスワークの実態を客観的に捉えられます。ですから、情報が流れる手段である通話やメールの、何時、誰から誰に、何を、を分析すれば、オフィスのワークフローの実態を見える化することができます。
 From-To分析は、通話やメールの交信ログをネットワーク解析して、多くの情報を高い頻度でやり取りしている人を近くに、情報の流れが少ない人を遠くにマッピングします。このFrom-To分析によりオフィスワークの流れの実態を余すところなく「見える化」することが可能です。

● 事実が見えれば無駄のない適切な業務が実現します


 机上で考えた組織の不合理が客観的に示されます。明確な指針があるだから組織改編は物理的には簡単です。ですが、組織を動かすことが社内事情でできない場合もあります。その時は、所属を動かさずに机を動かすことをお勧めします。情報の流れ=コミュニケーションは、人と人が近いほど円滑に適切に行えます。ですから、From-To分析のマッピングされた配置に机を動かせば、人と人の会話は最適化されます。
 オフィス・スペースを削減する目的で人の居場所を固定しない会社がありますが、こえは人と人の会話も削減してしまいます。人と人の安定した関係には、物理的に安定した場所(位置)が必要なのです。オフィス設計者は、空間を設計するのではなく、オフィスに居る人の在り方を設計すべきです。
 机の位置関係と同時に重要なのが、情報システム上での位置関係です。まず、位置関係が近い従業者が同じ役割を担っていることが多く、原則として情報システムに対して同じアクセス権限を持つべきです。同じ役割を持つ人々のグループには、同じアクセス権限を持たせないと業務が適切に遂行することができません。多くのシステムが、プログラムの不適切さより、権限設定の不適合さによって機能不全に陥っています。
 連絡や指揮命令、稟議の経路も、From-To分析で示された情報の流れに沿って再設定すると業務の能率が向上します。一般的に言って、システムの権限とコミュニケーションの経路の再設定で、業務時間が2〜3割削減され、より前向きで生産的な業務に多くの時間を投入することができるようになります。

● ワークフローを最適化する
 From-To分析により、ワークフローを最適化することができます。As-Is(現状)のワークフローを、現状の問題点を抽出するために作成する必要はありません。業務に伴う情報の流れの事実が目の前にあるのですから。さらに、To-Be(ありべき姿)を机上で議論する必要もありません。コンサルタントが書くTo-Beは理屈には合うかも知れませんが、貴方の会社の実態に合うとは限りません。今の現実に合わせてワークフローを改善すれば、能率が向上するのは確実です。
 勿論、それだけでワークフローが最適化する訳ではありません。何故ならば、現状肯定は最適化を保証しないからです。ワークフローを最適化する手順は以下の通りです。

1.From-To分析が示すとおりにワークフローを改善する
 結果として、社内の風通しが良くなり、仕事の流れが見渡せるようになります。
 一人一人が仕事を見通せ、仕事のやり方を生産的に工夫できるようになります。
 そうすると、より適切な仕事の流れができてきます。

2.定期的にFrom-To分析を行い改善を続ける
 定期的なFrom-To分析とワークフローの改定によって、ボトムアップによる業務の継続的な改善を確かなものにすることができます。改善の成果は、従業員の時間あたりの生産性などによって検証します。
 継続的な改善を実現するには、従業員へのエンパワーメント(権限付与)が前提です。現場で働く人々の工夫が活かされない組織では、いかなる改善も(トップダウンの改革さえも)有効なものとはなりません。間違いの無い継続的な最適化に向って歩み始めるには、従業員に充分な権限が与えられることが不可欠です。

3.経営の意思によるBPRを断行する
 ボトムアップの改善だけでは、ワークフローは最適化しません。事業理念を実現する経営の意思により、BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)を断行する必要があります。
 そのタイミングは、継続的な改善が進むようになった時です。矛盾するようですが、ボトムアップによる改善がうまくいかない風通しの悪い組織では改革もできないのです。
 BPRの設計には、投入-産出分析やバリューチェーン上のインターフェイス最小化を用います。投入-産出分析による方法は、簡単に言えば行列の掛算です。行列の掛け算は掛ける順序を変えれば結果が異なります。産出が最大になる/投入を最小になるプロセスの流れを合理的に定めることができます。但し、この分析は機能単位のプロセスが適切に定義されている必要があります。ワークフローの改善がある程度進んでいないと、高度な技法も役には立たないのです。
 バリューチェーンのインテーフェイス最小化は、例えば、6年後に流行る色を予測して生地を染めていたのを、販売店に陳列される3か月前に、売れているものの傾向を見ながら、現地で縫製された生成りの服を染めた方が、売れ行きも良く、売れ残りも少なくなるというように、最終的な収益から遡って、収益に与える要因の不確実性を最小にする、時間的・空間的・社会的距離を短縮するプロセスを導くものです。

4.継続的改善によりワークフローを最適化する
 BPRは理念的改革ですから、実際の業務のワークフローを最適化するには継続的な改善が求められます。ビジネスプロセスは最適でも、ワークフローが最適とは限らないのです。



inserted by FC2 system